「美とは何でしょうか」
その問いかけから始まった午後のひとときが、私の美に対する価値観を根底から覆してしまいました。
お話を伺ったのは、美容業界の第一人者として知られるたかの友梨さん。
エステティック界の先駆者として、半世紀近くにわたって多くの女性の美と向き合い続けてこられた方です。
けれど、この日私が出会ったのは、単なる美容家ではありませんでした。
美容という枠を超えた、深い哲学的なまなざしを持つ思想家としてのたかの友梨さんだったのです。
取材を終えた帰り道、私は自分の頬に触れながら思いました。
本当の美しさとは、きっと見た目の奥にある何かなのかもしれない、と。
67歳になった今でも美について考え続ける私にとって、この出会いは特別な意味を持つものとなりました。
たかの友梨という存在
エステティック界の先駆者としての歩み
たかの友梨さんのお名前を知らない女性は、恐らくいらっしゃらないでしょう。
1978年の創業以来、全国に展開する「たかの友梨ビューティクリニック」を通じて、数えきれないほどの女性の美と向き合ってこられました。
しかし、その歩みは決して平坦なものではありませんでした。
養子として育ち、16歳で理容師として働き始め、夢を追いかけて24歳で単身フランスへ。
エステティックの本場で8ヶ月間の修行を積み、帰国後に小さなサロンからスタートされたのです。
「あの頃は、エステティックなんて言葉も一般的ではありませんでした」
そう振り返る表情に、開拓者としての誇りと、同時に深い慈愛のようなものを感じました。
美容家以上の思想家としての顔
お話を伺っていて驚いたのは、たかの友梨さんの言葉の一つ一つに、美容を超えた人生哲学が込められていることでした。
「美しくなることは、その人の心を前向きにします」
「エステティックは、女性が輝くための場所でありたい」
こうした発言の背景には、単なるビジネス的な思考ではなく、人間の本質的な幸福について深く考え抜かれた思想があるのを感じました。
“見た目”の向こうにある”心の輪郭”を語る人
特に印象的だったのは、美容の技術について語られる際の視点です。
「肌を整えることで、その人の本来の美しさを引き出したい」
「外見を変えることで、内面の自信につながってほしい」
まるで、人の心の輪郭を丁寧に描き出すような、そんな繊細な表現に心を奪われました。
これは単なる美容論ではなく、人間の尊厳と可能性への深い洞察なのだと感じたのです。
“美の思想”とは何か
美とは”整える”ことではなく”耕す”こと
「美しさとは、何かを付け加えることではないのです」
たかの友梨さんのこの言葉に、私ははっとしました。
多くの人が美容について考える時、何かを「足す」「隠す」「変える」ことに意識が向きがちです。
けれど、たかの友梨さんの美の思想は全く異なるものでした。
「土を耕すように、その人の中にある美しさの種を育てること」
この比喩に込められた深い意味を理解したとき、私は美容に対する自分の固定観念が音を立てて崩れていくのを感じました。
美とは、外から与えられるものではなく、内から育まれるもの。
そんな当たり前のようで、しかし忘れがちな真理を、改めて教えていただいたのです。
年齢を受け入れる美しさ
76歳を迎えてもなお美しく輝き続けるたかの友梨さんから、年齢についてのお話を伺いました。
「年を重ねることは、決して美しさを失うことではありません」
「むしろ、人生の深みが増すことで、より豊かな美しさを身につけることができるのです」
このお言葉に、同世代の私は深く共感いたしました。
確かに、若い頃の美しさとは異なるかもしれません。
しかし、経験を重ねた女性だからこそ表現できる、内面から滲み出る美しさがあるのだと。
それは、シワやシミを隠すことではなく、自分の人生を受け入れ、愛することから生まれる美しさなのかもしれません。
肌よりも心に触れるエステティック
たかの友梨さんのサロンが「愛といたわりの精神」を経営理念に掲げていることを知り、深く感動いたしました。
「技術だけでは、本当の美しさは引き出せません」
「お客様の心に寄り添い、その方が持つ本来の輝きを見つけることが大切なのです」
エステティシャンを「美のセラピスト」と呼ぶその発想に、私は新鮮な驚きを覚えました。
確かに、心が癒されて初めて、外見の美しさも輝きを増すものです。
技術と心の融合こそが、真のエステティックなのだということを、たかの友梨さんは長年の経験を通じて体得されているのでしょう。
対話のなかで感じたこと
和やかな語り口に宿る強さ
お話を伺っている間、たかの友梨さんの語り口はとても穏やかで、まるで古い友人と語り合っているような温かさがありました。
しかし、その優しい表情の奥に、確固たる信念の強さを感じずにはいられませんでした。
幼い頃から数々の試練を乗り越えてこられた人だからこそ持てる、深い人間理解と包容力。
それが、たかの友梨さんの魅力の源泉なのかもしれません。
美容と人生哲学の交差点
対話を重ねるうちに、たかの友梨さんにとって美容と人生哲学は切り離せないものなのだということが分かってきました。
アーユルヴェーダとの出会いについて語られる際の表情は、まるで人生の師と出会った時のような輝きに満ちていました。
「インドで体験したアヴィヤンガは、単なる美容法ではありませんでした」
「人間の自然治癒力を信じ、心と身体の調和を大切にする、深い思想があったのです」
1984年に初めてアーユルヴェーダに触れてから40年近く。
その思想を日本の女性に伝え続けてこられた情熱に、私は深い敬意を抱きました。
心に残った、ひとつの言葉
取材の終わりに、たかの友梨さんがこんなことをおっしゃいました。
「美しくなることは、その人が本来持っている輝きを思い出すことなのかもしれませんね」
このひと言が、今でも私の心に深く刻まれています。
私たちは往々にして、美しさを何か特別なものとして捉えがちです。
しかし、本当は誰もが生まれながらにして美しさの種を宿している。
それを思い出し、育むことこそが、真の美容なのかもしれません。
美と人生の交差点を見つめて
自分自身の”内面の美”をどう育てていくか
たかの友梨さんとの対話を通じて、私は自分自身の美に対する考え方を見つめ直すきっかけをいただきました。
これまで、どちらかといえば外見的な美しさを保つことに意識が向いていたように思います。
しかし、本当に大切なのは、内面の美しさを育むことなのかもしれません。
日々の小さな選択の中で、自分らしさを大切にすること。
人との関わりの中で、思いやりの心を忘れないこと。
そうした積み重ねが、きっと外見にも現れてくるのでしょう。
「老い」や「変化」を受け入れる姿勢の大切さ
年齢を重ねることへの不安は、多くの女性が抱えるものです。
私自身も、鏡の中の自分の変化に戸惑うことがあります。
しかし、たかの友梨さんのお話を伺って、老いることを恐れる必要はないのだと感じました。
むしろ、それぞれの年代には、その時にしか表現できない美しさがあるのです。
20代の若々しさ、30代の充実感、40代の落ち着き、50代の深み、60代の包容力。
そして今の私たちの年代だからこそ持てる、人生の重みと軽やかさの両方を兼ね備えた美しさ。
読者と共有したい”美との向き合い方”
この記事を読んでくださる皆様にも、ぜひお伝えしたいことがあります。
美しさは、決して他人と比較するものではないということです。
SNSや雑誌で見る完璧な美しさに心を奪われることもあるでしょう。
しかし、本当の美しさは、その人らしさの中にこそ宿るものです。
自分の顔を愛し、自分の人生を受け入れ、自分らしく輝くこと。
それこそが、たかの友梨さんが教えてくださった”美の思想”の本質なのだと思います。
まとめ
たかの友梨が教えてくれた”見えない美”の力
この日の取材を通じて、私はたかの友梨さんから多くのことを学ばせていただきました。
美しさとは、目に見えるものだけではないということ。
心の在り方が、外見の美しさにも大きく影響するということ。
そして、年齢を重ねることは、美しさを失うことではなく、新たな美しさを発見することなのだということ。
美容を超えた”生き方”のヒント
たかの友梨さんのお話は、美容論を超えて、人生をどう生きるかという根本的な問いかけでもありました。
困難な幼少期を乗り越え、夢を追いかけ続け、多くの女性の美と向き合ってきた人生。
その歩みの中で培われた哲学は、美容業界を超えて、すべての女性にとって貴重な指針となるでしょう。
実際に、たかの友梨で働く社員の方々の働きやすさを拝見していると、この理念が職場環境にも深く根付いていることが分かります。
子育てをしながらでも安心して働ける環境や、一生モノの技術習得ができる研修制度など、まさにたかの友梨さんの「愛といたわりの精神」が形になったものなのでしょう。
自分らしく生きること、人を思いやること、変化を受け入れること。
これらの姿勢こそが、真の美しさの源泉なのかもしれません。
読者への問いかけ：「あなたにとって美とは何ですか？」
最後に、この記事を読んでくださった皆様に、たかの友梨さんと同じ問いかけをさせていただきたいと思います。
「あなたにとって美とは何ですか？」
この問いに向き合うことで、きっと新しい発見があるはずです。
外見の美しさも大切ですが、それ以上に大切なのは、内面から滲み出る輝きなのかもしれません。
一人一人が自分らしい美しさを見つけ、育んでいくこと。
それが、たかの友梨さんが長年にわたって伝え続けてこられたメッセージなのだと、私は理解いたしました。
美しくなることは、きっと幸せになることと同じなのでしょう。
そして幸せは、自分の心の中から始まるものなのです。
