大河ドラマの魅力について前田氏に聞く

趣味

1年をかけて歴史上の人物の生涯を描く、国営放送・NHKの看板番組であり、日本のその年を代表する作品と言っても過言ではない大河ドラマ。

インターネットの普及によるテレビ離れや趣味の細分化により、以前ほどの爆発的な影響力は薄れてきたと言われることもありますが、それでも視聴率の高い低い、脚本やキャストの演技への評価の高い低いに限らず、一年を通して何かと話題になることが多く、いまだに多くの人々の関心を集めている日本有数の作品であることは疑いようもありません。

今回はそんな大河ドラマの魅力について前田裕幸氏とともに紹介していきたいと思います。

参考:最近、コメディアンの前田裕幸は?

 

群雄割拠する戦国時代

大河ドラマで最も多く取り上げられ、また絶大な人気があると言われているのは、何といっても戦国時代です。

群雄割拠する動乱の時代の、戦や落城によってもたらされる残酷な結果や涙なしには語れない悲劇、命がけの戦いで自らの地位を押し上げていくこれ以上ないほどのスリルや高揚感、戦場での勇壮な殺陣に巧妙且つ緻密な駆け引き等、平和な現代社会とは大きくかけ離れた劇的なエピソードの数々が否応も無く多くの人々を惹きつけます。

日本の歴史を大きく動かした人物であり、抜群の知名度と影響力を誇る天下人の織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三英雄は特に圧倒的な人気を誇り、主役は勿論、重要人物として何度も大河ドラマに登場しています。

頂点を極めたともいえる三英雄の他にも、毛利元就や伊達政宗、武田信玄と上杉謙信に前田利家といった天下人までは行きつかなかった地方の有力戦国大名すらそれぞれ異なる特別な魅力に満ち溢れており、一年をかけて題材にしても視聴者を飽きさせずに魅了するだけのエピソードや人気を十分に持っているのも、戦国時代の大きな特徴です。

天下人クラスの有名武将が既に何度も主役をつとめてしまったこともありますが、最近では、主君の出世と共に領地持ちの武将まで昇りつめたとはいえ戦国大名に仕えた家臣にあたる直江兼続や黒田官兵衛、山内一豊に真田幸村といった武将達すらも主役として1年間という長い間その人生を取り上げられることも増えてきました。

主役を飾る人物は勿論、生死を争った強大な敵方勢力や出世を競い合ったライバル達、主人公を支える忠実で個性豊かな家臣達をはじめ、動乱の時代を力強く生き抜いてきた周囲のキャラクターもそれぞれ魅力にあふれ、作品を印象的に彩ってくれます。

その他、豊臣秀吉の正妻・北政所ねねを主役にした「女太閤記」をはじめ、夫である前田利家を支えた正妻のまつを主役とした「利家とまつ」、山内一豊の国持大名になるまで支えた賢妻として名高い千代を主役とした「功名が辻」、天下一の美女と名高い織田信長の妹のお市の方を母に持ち、豊臣秀吉の側室であり豊臣秀頼の母となった茶々と京極高次の正室となった初の二人の姉を重要人物の、3度目の結婚で二代将軍となる徳川秀忠の正妻となり、三代将軍徳川家光と天皇の中宮となった和子の母となった江を主役とした「江~姫たちの戦国~」等、戦国時代を生き抜いた奥方や姫君を主役として取り上げた作品も多数あります。

一夫多妻制の時代のため、現代劇では見られない寵愛を争う正妻や側室の諍いや誰が世継ぎとなるかの攻防が描かれる場面も多く、こういった戦場以外での争うの様子もこの時代の作品の面白さの一つとも言えます。

 

戦国武将を取り上げた作品の見どころ

戦国武将を取り上げた作品の見どころと言えば、やはり迫力に満ちた合戦シーンです。

色とりどりの旗印が入り乱れ、鎧姿の武将や大勢の足軽たちが画面いっぱいに命がけの戦いを繰り広げる映像には、他の時代の作品や現代劇ではなかなか味わえないほどの特別な魅力があります。

学者等による歴史考証により緻密に再現された意匠を凝らした各武将の兜や甲冑は芸術的と言ってもいいほど見ごたえがあり、重い鎧をものともせずに軍馬を操り戦場を駆け回る俳優たちの熱演からも目が離せません。

戦国時代後期に日本に伝来された鉄砲が爆ぜる轟音や立ち昇る硝煙や砂埃も、より戦場の緊張感を盛り上げてくれます。

最近ではコンピューターグラフィック等も駆使して表現される勢力図が話題になることも増え、歴史を変えた戦いを特等席で鳥瞰しているようなワクワク感を味わうことができます。

戦場シーン以外にも、同じく時代考証を基に立派なセットとして再現された勇壮なお城や、権力を誇示するように豪華なその内装、そして姫君や奥方達が纏う美しい打掛等、遠い時代の特権階級の優雅で豪華な暮らしぶりを眺めることができることも大きな魅力です。

女性の視点や平和を願う気持ちに重きをおいた現代の感覚に近い内容の、歴史にあまり詳しくない人でも見やすい戦国時代劇もあれば、戦国時代の野卑で残酷なやりとりも骨太に描いた歴史通好みの作品もあり、同じ戦国時代の同じ人物の周囲を描いた作品でも、それぞれ大きく趣が異なることも大河ドラマの特徴といえます。

第59作品目となる2020年の「麒麟がくる」は勿論、歴代大河ドラマを見比べて、是非お気に入りの作品を見つけてみてください。

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